【商品説明】
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●「住の江」のはじまり|石原酒造
奄美最大の住用川が流れ込むマングローブのほとりに、石原酒造はありました。女性杜氏の石原タカにより営まれていた酒蔵です。正確な記録は残っていませんが、石原酒造は戦前より営まれていたと考えられます。確かな記録が残るのは、一九五六年九月の、日本政府による酒造免許交付。奄美群島の日本復帰から、わずか三年後でした。戦中戦後の混乱を乗り越え、焼酎造りを継続した石原酒造。現存する写真からは、限られた人数で、地域のために造りを続けていたことが伺い知れます。
当時の数少ない記録や写真からうかがい知れるのは、石原酒造は「甕仕込み」そして「直火蒸留」で酒を醸していたということです。現在の主流であり、酒に雑味が出にくい「間接加熱蒸留」に対して、当時の蒸留手法は全くの「直火」。強烈な香ばしさが感じられる酒だったと考えられます。石原酒造は当時も「住の江」という銘柄を持っていたものの、製造した酒は共同瓶詰所(かつて奄美大島に存在した奄美第一食糧)へ納めることがほとんどでした。
●時代の転換「町田酒造へ」
住用の地で奮闘を見せた石原酒造でしたが、昭和の終わりには共同瓶詰が終焉を迎え、同時に後継者不在の問題に直面しました。この時、後継を申し出たのが、町田酒造の創業者・町田實孝でした。實孝は、受け継いだ酒蔵を現所在地である龍郷町大勝へ移転。小さな家族経営の酒蔵は、近代的な設備と大きな生産能力を備えた酒蔵へと生まれ変わりました。その後、町田酒造による「里の曙」ブランドは急成長を遂げ、奄美大島のみならず、全国の市場へと流通し、奄美黒糖焼酎を全国へ広く知らせる存在となりました。この間、わずかながら町田酒造へ受け継がれ、ひっそりと時を紡いでいた酒、それが「住の江」です。
●時のもたらした味わい
石原酒造が醸し、町田酒造が受け継いだ「住の江」は、三十年を超える時を刻みました。永い時はその酒の荒々しさを削り取り、円く熟した、
しかし新鮮な味わいを形づくりました。口に含むと拡がるのは、サトウキビを思わせる青草のような香り。三十余年の歳月を思わせない、新鮮な印象を与えます。大地を思わせる重厚な口当たりが舌を包み、余韻は長く甘く、蜂蜜や土を思わせるフィニッシュ。稀の酒と呼ぶにふさわしい、何層にも重なる奥深き味わいです。
この酒のボトルを飾るのは、奄美をこよなく愛した画家、田中一村の「奄美の海に蘇鉄とアダン」。奄美での生活から一時帰郷していた一村が、千葉で描き上げた作品です。一村作品の中でもとりわけ明るく、生き生きとした描写は、歳月を経ても燦然と輝く住の江の味わいと交差します。化粧箱には、白くシンプルなボックスを採用することで、凛とした住の江の佇まいを演出。さらに、封緘する帯紙にシリアルナンバーを付し、ひとつひとつのボトルを際立てました。ご購入いただいた後も、永く、少しずつ、じっくりと味わっていただきたい一本です。
【スペック】
貯蔵年数:15年
アルコール度数:37度
原材料:黒糖・米麹
【蔵元ストーリー】
●悠久の島「奄美」
濃密な原生林に包まれた亜熱帯の島、奄美大島。森の奥には太古の姿をとどめる動物たちが生息し、南国の豊かな自然を謳歌しています。この島は、琉球と薩摩が出会い、そして響き合った独特の文化の宝庫でもあります。哀愁のリズムを刻む島唄や、古老の語る神話の数々。日本のどこにもない世界が、今も暮らしの中に脈々と息づいています。そんな風土に培われ、飲み継がれている島の酒があります。それを黒糖焼酎といいます。
●稀の酒
元禄の昔、奄美の島々で造りだされた貴重な黒糖焼酎は、長い歳月を重ね受け継がれてきた酒です。南の島でしか採れないサトウキビを精製した黒糖を主原料としているため、生産された黒糖焼酎も大変貴重なものでした。奄美だけで造られ、島人たちの暮らしを潤してきた貴重な一滴。黒糖焼酎が「稀の酒」と称される所以です。島人は、この酒を大切な日々の糧として、愉しむようになりました。
●革新的な焼酎
黒糖焼酎で初めて、減圧蒸留による製造を導入した「里の曙」の登場はそれまでの常識を覆す革新的な出来事でした。近代的で画期的な工場は元々味がブレやすく、ばらつきのあった黒糖焼酎の品質を安定させ、減圧蒸留により従来のクセのある匂いや雑味を取り除くことで、当時の「年配の男性が晩酌で飲む、クセのある強い酒」という黒糖焼酎のイメージを一新。飲みやすく、まろやかな風味は男性ばかりでなく女性や若者からも支持され、島内では名瀬の繁華街・屋仁川の社交業界の女性を中心に人気に火が付き、ウイスキーが主流だったスナックや居酒屋などの飲食店で黒糖焼酎が置かれるようになり、発売から十年のうちに皆様から愛されるお酒になりました。
●健康志向
奄美黒糖焼酎「里の曙」は、黒糖を米麹と酵母で発酵させて造る焼酎です。独特の甘い香りを漂わせながらも、実は糖質は全くのゼロ。健康を気づかう方にも安心してお楽しみいただけるお酒です。糖質やプリン体を含まない純粋無垢な性質は、ここちよい酔い覚めをも約束してくれることでしょう。原料の黒糖はビタミンやミネラルを豊富に含むアルカリ性食品でもあります。「酒を飲むなら奄美黒糖焼酎」「里の曙」が島人たちに愛飲されてきた理由が、ここにもあります。
●本物の旨さ
素朴にして甘美な味わいとまろやかな口当たり、そして馥郁ふくいくたる伝統の香りが、奄美黒糖焼酎「里の曙」の身上です。オンザロックなら、醍醐味もひとしお。通人をもうならす本物の旨さに加え、磨きぬかれた酒だけが醸しだすやさしい飲み口が、多くの人々にも喜ばれています。亜熱帯の野生味と類稀なる奄美の文化が溶けあって、美酒に昇華した奄美黒糖焼酎「里の曙」至福のひとときが、この一杯からゆっくりと始まります。
●減圧蒸留
減圧蒸留とは、蒸留タンク内の圧力を減圧状態にして蒸気を送り込む蒸留方法をいいます。減圧状態で蒸留することにより低温でアルコールが蒸発し分離されるため、軽快でクセがなく、まろやかな酒質になります。黒糖焼酎業界では、平成三年に町田酒造が初めて減圧蒸留を導入しました。従来の黒糖焼酎は「年配の男性が晩酌で飲む、クセのある強い酒」というイメージがありましたが、減圧蒸留を取り入れた里の曙の登場により、黒糖焼酎を華やかで飲みやすいイメージへと一新することができました。現在の黒糖焼酎業界では主流となっている減圧蒸留焼酎の礎を作りました。
【蔵元】
町田酒造株式会社
所在地:〒894-0105 鹿児島県大島郡龍郷町大勝3321大島群
電話 :0120-099-762
https://satoake.jp/